先生の手が触れる時

父親



「……はぁはぁはぁ…」

無我夢中で走り家にたどり着くと
息を整えながらアパートの階段を上る

すでに暗くなった空を見て
またひとつため息をついた

「…!」

そして前を見つめたとき
自分の部屋の前にいる影を見つけ息を飲む

小さくない影

わたしは良く知っている

あの影を。


「………お、父さん……」


うまく声がでない

体中が恐怖に包まれる
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