先生の手が触れる時

父と娘


凪side




「お世話になりました」

そういって、私は頭を下げる

今日は凜の家から出ていく日。
私は凜のお母さんと凜を見つめる

二人とも心配そうに眉を下げた

「……いつでも、遊びにいらっしゃい。それに、もし何かあったら絶対教えてちょうだい」
「……はい、ありがとうございます」
「…凪……本当に大丈夫?」

私はそう問いかける凜に微笑む

「大丈夫よ」

本当は、少し不安もある
お父さんが怖くない訳じゃない

でもずっと逃げられることはできないから

私は…

「それじゃ、またね…お世話になりました」

そういって手をふった

外に出ると冷たい風が私の体を包む
そっと空を見上げる

空が青い…

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