先生の手が触れる時

そんなことを考えていると

「………凪」

そう声をかけられて空に向けていた視線を声の方へと向ける

「……晴夏…」

晴夏は私の顔を見ると、少し眉間に眉を寄せた

「出ていくのか?」
「……うん…」
「お前……何考えてる?」

晴夏にそう問われて表情が強ばるのが分かる

「…………」

しばらく無言でお互い見つめあい、私はそっと微笑んだ

「何が?どうしたの?」
「………っ」

晴夏が何かを言いたそうに私との距離を詰めようと足を出した

駄目。
これ以上ここにいたら…晴夏は分かっちゃう

「ごめん、寄りたいところもあるし…もう行かなきゃ…」
「っ!」

私はなるべく笑顔のまま晴夏の横を通りすぎる

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