愛されたガール
「飲み物とってきますね」
面倒な女だと思われたくなくて、台所に逃げ込みます。目の前で泣いてしまっては迷惑になりますので。
所詮私は都合の良い飯炊き女なのです。
(止まれ…っ…涙……)
メイクが取れるのも構わず、目元をごしごしと台拭きで擦ります。
気持ちを落ち着かせていると、なんとタクミさんが台所にやってきました。
「ヒナ……」
「はい、何でしょう」
私は精一杯の笑顔を作ってタクミさんの方を振り返りました。
「お前に言うことがある」
胸の奥がスッと冷たくなりました。
……嫌な予感がします。
きっと、お別れを言われてしまうでしょう。
少しずつ壁の方に後ずさる私に、じりじりとタクミさんが迫ってきます。
ダンッと逃げ場を塞ぐように顔の横に手をつかれると、身体が縮み上がりました。
タクミさん。大好きなタクミさん。ずっと傍に居たかったです……。