クールなお医者様のギャップに溶けてます
「大丈夫ですよー病院着きましたよー」

患者さんに負けじと大きな声で叫ぶ救急隊の声も虚しく、患者さんはストレッチャーの上で落ち着きなく騒ぎ続ける。

「怖いー助けてー助けてー!」

「大丈夫ですよ。落ち着きましょう。」

医局から来た神野先生が冷静に対応したけど、パニックを起こしている患者さんには神野先生の優しい声掛けも届かない。

「鎮静剤の用意。」

鎮静剤…
そうだ、鎮静剤!

「それは出来ません。」

「なぜだ?」

「カルテが来れば確実に確かめられますが、この方、薬剤のアレルギーがあったはずです。」

何の薬剤だったかまでは分からない。
でも、記憶は確かだ。下手に薬剤を投与出来ない。

「カルテは?」

「3年前の受診歴なので、カルテ庫に守衛さんが探しに行ってくれています。その間に落ち着かせてみますので、先生は救急隊の話しを聞いていて下さい。」

物凄く疑わしい感じでジロッと睨まれたけど、今は先生の事よりも患者さんが優先だ。
ストレッチャーから内視鏡室のベッドに移し、すぐさま落ち着かせるよう努力する。
< 16 / 218 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop