クールなお医者様のギャップに溶けてます
「コンコン」

「はーい」

「父さんだ。入るぞぉ〜。」

「お父さん?何?」

ん、と渡されたのはおやつだ。

「ありがとう。」

こんな時にまでお腹が空くなんて、なんか情けない。
あったかいココアを飲み、ホッと一息つく。

「何してるの?」

用が済んだから戻ったかと思っていたお父さんがまた部屋に入って来てウロウロし始めた。そして勢いよくベッドの端に腰掛ける。

「んー。亜樹、嫌な事かもしれないけどお父さん聞くな。先生とはダメになっちゃったのか?」

「あはは、はっきり聞くね。」

もっと遠回しな聞き方も出来るんだろうに。

お母さんなんて何かと用事を見付けては部屋に来て「手土産は和菓子より洋菓子の方が良かったかしら。」とか「今日は何が食べたい?」とか言ってた。あからさまな気遣いをされて娘としては少し悲しかったんだ。

久しぶりに私が笑ったのを見てホッとしたお父さんは調子に乗って突っ込んでくる。

「相手のご両親に何か言われたのか?例えば家柄が違うとか、美人系より可愛い系がいい、とか。」

「お父さん(笑)そんな事言われるわけないじゃん。」

「そうか。家柄を否定されたら怒鳴りに行くつもりだったけど、それならいっか。」

そんな怒鳴り込める程の家柄ではないけど、その気持ちが嬉しい。

「先生はね、私ではない別の人と幸せになった方が良いんだよ。だから別れよう、って決めたのは私なの。」

「亜樹はそれでいいのか?」

「うん。私には大好きな家族もいるし、大好きな仕事もある。だから男の一人や二人ダメになったからってなんて事ないよ。」

「そんな泣きそうな顔しても説得力ないぞ?亜樹は辛い恋をしたんだな。」

ポンポンとお父さんに頭を撫でて貰うのは何年振りだろう。

その仕草で泣きそうになっちゃう、って、その事お父さん分かってないのかな?
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