クールなお医者様のギャップに溶けてます
10分後。
私服に着替え、髪を適当にまとめて、顔はマスクで隠してから静かに階段を降りる。

半分位降りた所で耳を澄ませれば確かに先生の声が客間から聞こえてくる。

しかも、よく聞けばお母さんとお父さんと楽しく談笑してるじゃないか!
お父さんっ!
どーなってるのよ⁈

こういう時、はっきり言ってくれる弟のカズがいてくれたらいいのに。カズは彼女と旅行に行くから、と言ったきり、未だに帰らない。

優雅に沖縄旅行なんてズルいよ。。

どうしよう、出て行くタイミングが分からない。
お父さんに待っていてもらえば良かったかな?
このまま戻っちゃおうかな。

階段にしばらく座って様子を伺っていると、お盆に空の瓶ビールを乗せたお母さんが出て来た。

「亜樹、そんな所で何やってるの?」

何、と言われましても…。

「お、やっと降りて来たか。」

お父さんも出て来た。

そして先生も。

「亜樹…」

名前を呼ばれてドキっとする。
勇気を振り絞って立ち上がり、階段を下まで降りる。

「亜樹、お父さんとお母さん、買い物に行ってくるから。」

「え?」

「駅前のスーパーで北海道物産展やってるのよ。亜樹の好きなチョコ買って来てあげるから、待っててね。」

全く仲が良くて羨ましいよ。
気をきかせてくれているんだろうけど。

クリスマスにお父さんから買ってもらったというキャメル色のコートを羽織り、お母さんとお父さんは仲良く物産展に出掛けてしまった。
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