クールなお医者様のギャップに溶けてます
先生と二人きり。
気まずいけど、今の先生は一応お客様だ。
最低限の配慮を心掛ける。

「先生、何か飲みますか?」

「いや、さっきご馳走になったから大丈夫だ。それより座って話しを聞いてくれないか?」

「突然家に来るのが先生はお好きですね。」

先生と真正面で向き合いたくなくて、先生が座るのを見届けてから対角線に座る。

「すまない。話がついてから連絡しようと思っていたんだが、親と話しをするのに時間が掛かってしまった。」

それにしたって連絡すべきでしょ。突然の訪問に私の親だって少なからず驚いたはずだ。
顔を背けていると急に先生が謝罪を始めた。

「亜樹、すまなかった。」

「許してくれ。」

頭を下げる先生なんて見たくない。
ていうか、先生は何に対して謝罪してるの?
私を利用した事?
それとも二股掛けてた事?
はたまた親の代わりに謝罪?

「許してくれないのか?」

許すも許さないもないでしょ?

はっきりしてるのは、別れの決定だけ。
わざわざ家にまで来なくてもいいと思うけど、先生らしいケジメの付け方だ。

お父さん、やっぱり私ダメだよ。
先生と向き合えない。
こんなに謝られたら打つ手なし。
向き合う前に終わっちゃったよ。

「亜樹…こっちを向いてくれないか?」

なんなのよ、もうっ!しつこいな!

「これからも職場で会いますが、同僚として上手く付き合っていきましょう。では。」

「亜樹、違うっ!ちゃんと聞いてくれっ。」

これ以上何を聞けばいいの?
すまない、と頭を下げて謝ったのは先生なのに。
もう〜色々勝手過ぎるんだよ。
頭にくるっ!

「ムカつく。」

「は?」

「ムカつくんですよっ!先生も、先生の親も百合子さんも!」
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