クールなお医者様のギャップに溶けてます
先生の手が離れて、ようやく身体に自由が戻った。

クルッと向きを変えて洗浄の続きに急いで取り掛かる。
ジャブジャブと洗っていれば少し気持ちが落ち着いてきた。

先生は相変わらず隣にいるけど。
早く出て行ってくれないかなぁ。

「なぁ、来週の金曜日、シフトはどうなってる?」

金曜日?シフト?
今度は何の話し??

「わ、私なら日勤ですが。」

「大学で内視鏡の勉強会がある。それについて来い。」

勉強会?

「成長したといってもまだまだだ。」

やっぱり厳しいのも変わらずなんだね…。
でも勉強は嫌いじゃない。最近、勉強会に参加してなかったし。
ただ、大学での勉強会はちょっと無理だ。
ずっと避けてたし…。

「では内視鏡室のみんなに声を掛けておきます。」

「…」

あれ?
無言??
どうしたんだろうと思って隣を見上げると眉間に皺を寄せている先生がいた。
ありゃ、せっかくの綺麗なお顔が台無しですよ?

「他のスタッフには勉強会後に君が教えればいい。勉強会の会費だって全員分は払いたくない。」

ケチだな。
一人分は払ってくれるらしいけど。
ただ、一人で行く勇気はない。
大学病院の勉強会に行くっていう事はあの時のスタッフがいる可能性があるから…。

返事を渋っていると痺れを切らした先生が「来週金曜日18時裏口集合」と、それだけ言い残して去っていってしまった。
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