クールなお医者様のギャップに溶けてます
月初めに1度行われる朝礼は院長の挨拶に始まり、事務長からの業務連絡、職員の結婚や退職などが発表される。

職員は全部で70人。

狭い会議室には入りきらない人数だけど、朝礼の時間にはすでに外来の受付が始まっているし、各部署の業務も開始してるから朝礼に参加するのはいつも大体30人位。

でも、今日は50人位いるから会議室がギュウギュウだ。

「何で今日はこんなに多いの?」

小声で隣に立つ花絵に聞くと

「みんなイケメン医師を見たいのよ。」

さっき言ったでしょ、と言わんばかりに呆れた口調で言われた。

そう言われて見渡してみれば、いつもは適当に仕事の理由を探して朝礼をサボっている若い女性スタッフが前の方を陣取っていて、真面目に毎回参加してるベテランスタッフたちが後ろに追いやられている。

イケメンって言うだけでこんなに人が集まるなんて、毎月きちんと朝礼をしている院長がかわいそうなもんだ。

そんな事を思っていると会議室の扉が開き、院長と事務長が入って来た。

「皆さん、おはようございます。」

「おはようございます。」

「今日は参加人数多いですね。もしかして新任の先生目当てですかな?」

最前列に並ぶ女子たちが気まずそうにモジモジしているのが分かる。
院長ってそういうの疎そうなのにやっぱりこれだけ普段と違う顔が並べば分かるんだな〜。

「皆さんお待ちかねのようだし、早速お呼びしましょうか。」

院長の目配せで事務長が入り口のドアを開け、新任医師を連れてきた。
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