クールなお医者様のギャップに溶けてます
「最近、神野先生を見るとドキドキするんだよね。あと急に抱き締められた。」

ガタっとグラスが倒れる。

「もうなにやってるんですかぁ。」

こうちゃんが店員さんを呼んでおしぼりをもらい、花絵がこぼしたビールを拭く。
仕事の時と立場逆転だ。

さらに気を利かせたこうちゃんは花絵に烏龍茶を渡す。
ゴクゴクっと烏龍茶を飲んだ花絵は身を乗り出してきた。

「何それ。いつの間に抱き合う仲になったのよ?」

「抱き合う仲じゃないよ。」

今までの経緯を簡単に話すと、花絵の酔いが少し覚めてきたようだ。

「ふーん。それで、亜樹はドキドキする理由が知りたいの?」

「うん。これって好きって事かな?」

ガタっとグラスを倒したのは今度はこうちゃんだ。

「あ、亜樹先輩、それ本気で言ってます?」

「うーん。多分、そうなんだと思うんだよね。え?違うかな?」

今までも好きになった人はいた。
でも、先生みたいに嫌い→好きになった人はいなかった。
今まで好きになった人は初めから好印象だったから。まぁ、お付き合いする事はなかったんだけど。。

「いや、合ってると思うよ。ついに亜樹も恋をしたのかぁ〜。」

やっぱり!
でも、恋とか聞くと無性に恥ずかしい。

手元のビールを一気に飲むとさらに顔が熱くなってきた。

「で、でも、先輩、前に聞いた時は私に限ってあるワケないって言ってたじゃないですか?!」

「ごめん、本当はあの時からもう先生の事を気になり始めてた。」

「大体、先生には気になる人がいるんですよね?」

「う、うん…。そうなんだけど…。」

「じゃあ、先輩やめた方がいいですよっ!先輩が傷付くのなんて見たくないっ!」

こうちゃん…。
なんていい子なの!
そうだよね、やめた方がいいよね?
でも、万が一の可能性に掛けてみちゃダメかな?
別な誰かより、近くにいる私の方を気にしてくれるって思いたいんだよ。
でも、それはやっぱり自分勝手かな?
うーん…

「こうちゃん、亜樹が悩み始めちゃったじゃない。こうちゃんには酷だけど、亜樹の恋を応援してあげよう?」

「花絵先輩…。うわーん!」

急に泣き始めたこうちゃんを花絵が慰めるという変な展開になったけど、なんか応援してくれるみたいだから、とりあえず私は突き進んでいいよね?

ただ、恋を自覚した翌日。
失恋を経験する。
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