クールなお医者様のギャップに溶けてます
就業時間が終わってからフラフラっと山田さんの部屋へ向かう。

「山田さん、体調はいかがですか?」

「ぼちぼちだぁ。」

いつもぼちぼちなんだよね。
なんか可笑しくて笑ってしまう。

「亜樹さんは笑顔が可愛いなぁ。でも今日は元気ないな。何かあったか?」

患者さんに心配されるなんて看護師失格だ。
明日からはしっかりしなくちゃ。

「山田さん、お孫さんの事、聞きました。」

「お?おぉ。会う気になってくれたか?」

「はい。お願いします。」

ぺこりと頭を下げ、顔を上げると山田さんの嬉しそうな顔が目に入ってきた。

「そりゃ孫も喜ぶぞ。ありがとうな。」

「いえ、とんでもないです。」

「あ、でもな、嫌なら断っていいんだからな。女を誘う事もろくに出来ないヤツなんじゃから。」

ケッケッケと笑う山田さんは楽しそうだ。
お孫さんの事が大好きなんだろうな。

「マッサージしますね。」

いつも通りの「細くなったなぁ」と言う言葉を聞いてから、足にオイルを塗る。

その日は山田さんがご機嫌だったのもあるけど、先生の事を考えないように、山田さんと終始会話をしながら、たっぷり時間をかけてマッサージしてあげた。

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