クールなお医者様のギャップに溶けてます
「それなら亜樹にちょっとした話しがあるの。」

「何?」

「亜樹が担当してる山田さんいるでしょ?」

山田さんって90のアロマのおじいちゃん?

「あの人、大企業の会長さんなのよ。」

そういえば入院当初そんな話しをしてたっけ。
あまり偉そうには見えないし、仕事に関係ないから忘れてた。

「今は息子さんが社長として会社を動かしているらしいんだけど、副社長は35歳のお孫さんなんだって。」

たくさん孫がいるって言ってたけど、その中から選ばれた孫なのかな?

「そのお孫さん、亜樹も会った事あるはずよ?」

「もしかしてあの優しそうな感じの人?」

山田さんのお孫さんでお見舞いに来た事があるのは爽やかで優しそうな人だけ。
他は息子さん夫婦しか見たことがない。

「そう。その人がね、亜樹の事気に入ってるんだって。」

「はいー?」

「私、ずっと亜樹に『神野先生の事はどうなんだ?』って聞いてたでしょ。念のためこうちゃんもだけど。それって山田さんに亜樹にはいい人がいるのか、って聞かれていたからなのよ。いないなら孫と会って欲しいんだって言われてた。」

返事は保留にしてくれていたけど、昨日の私の話しを聞いて、今日、断ろうと思っていたらしい。

メインの担当者は私なのに、花絵と山田さんの間でそんな事があったなんて知らなかった。


< 59 / 218 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop