この甘き空の果て
「この戦争で勝つのは、資源が豊富で国民も多い敵の西国だって、皆知ってる。
 俺達東国は負ける。
 もう、戦争を長く続けるだけの人材が無いからな。
 戦闘機のパイロットも例外じゃない。
 けれども、この期に及んでまだ戦争がしたい上のヤツらは、指が一本でも動く兵隊は全員、参加しろってさ」

 東国は人を文字道理、死ぬまで働かせる気らしい、と亮はささやいた。

「これから先、楼羅が設計する飛行機は、早く高く自由に飛ぶ戦闘機じゃなく。
 どんなにケガをしていても、動かすことが出来る、爆撃機ばかりになる」

 そして、俺は負傷していても、飛行機を飛ばせるかどうかを測るテストパイロット一号かなぁなんて!

 何でも無い様なコト言わないでよ、莫迦!

「嫌よ!
 亮の棺桶を作るような真似……!」

 そこまで、わたしが言った時だった。

 亮は、今まで松葉づえを握っていた手をぱ、と放すと、わたしに向かって倒れ込むように身体を寄せる。

「え?」と思う間も無かった。

 壁の方を歩いていたわたしの顔の目の前に、亮はドン、と手をついたかと思うと。

 その真剣な顔のまま、わたしの唇を自分の唇で塞いだ。

「……ん…っ!」

 声が出せない。

 キスがわたしの言葉を奪って。

 今まで幼なじみとも、家族だと思っていた亮が、急に『男』に見えた。

 普段穏やかな彼が、一瞬、獲物を狙う鷹に見えた、なんて!
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