幼なじみの彼と彼女
11.疑惑
「聞いてる?」

祥太郎は明らかに上の空の梓の顔を覗き込む。

「う…うん」

慌てて梓は頷く。

暑い夏が終わり、季節は秋から冬へ

祥太郎が参戦しているロードレースが終わったら。

久々に2人で遊びに行く約束をしていた。



「映画も、集中してなかったし」

「…ごめん」

梓は頭を下げた。



祥太郎は何となく、あの夏以降、嫌な予感を抱いていた。

何か、あるんじゃないかと。

自分の知らない所で。



でも、怖くて聞けなかった。
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