天狗娘は幕末剣士

「こんにちは、素敵なお若いお侍さん。

 私に何のご用でしょうか」




用事を聞かれ、私はハッと我に返った。




「そうだ、あなたにお話があるんです」




「まあ、それなら中でゆっくりお聞きしましょう」




「あ、いえ……出来れば、外でお団子でも食べながら、お話したいのですが……」




八木邸で話をするのは、できるだけ避けたい。




芹沢さん暗殺の話を聞かれたりでもしたら、大変だしね……




「行ってきてもいいですか?」




お梅さんが隣にいる男の人に尋ねると、彼は困った顔をした。




「俺は構わないと思うが、芹沢さんが何と言うか……

 あなたを出来るだけ外に出すなと言われているのだよ」




「でも、今あの人は八木邸にはいませんわ。

 だから、内緒で行ってきてもいいですか?」




ね?と言って、お梅さんは片目を瞑った。




いたずらっ子みたいな顔……




ちょっと総司に似てるかも。




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