天狗娘は幕末剣士
私の帰る場所
暗い。
ここは、どこ……?
『早く殺せ』
白竜さん?
耳元に響く、白竜さんの声……
だけど、周りを見渡してみても、彼の姿は見当たらない。
『遠野杏子、お前はもののけだ』
また、白竜さんの声……
違う、私はもののけなんかじゃない。
すると、突然パッと目の前に、血だらけで倒れている風狸さんが現れた。
彼の姿を見た途端、私の体が勝手に動き出した。
そして、気がつけば私は彼の首を絞めていた。
な、何をやってるの、私は。
このままじゃ、風狸さんが死んじゃう。
駄目、止めなきゃ。
頭では分かっているのに、体は言うことを聞いてくれない。
『1度殺すと決めたら、必ず殺す。
それがもののけだ』
再び白竜さんの声が聞こえた。