天狗娘は幕末剣士


「新選組が……大人しく、ここで死んでもらうぞ」




そう言って、彼は私に斬りかかってきた。




私は素早く小太刀を抜いて、それを受け止めた。




見つかっちゃったけど、幸にも相手は3人。




天狗の力を使えば、こんな人達くらいすぐに……




そう思って、私は気を集中させた。




だけど……




「えっ……?」




どれだけ集中しても、翼を出すことはできなかった。




「おらぁっ!」




「っ!」




グッと男の人に刀で押され、私はしりもちをついてしまった。




しまった、今は力が使えないんだった!!




「忘れてた……」




「おいおい、どうした。

 もう、終いか?」




じりじりと3人が私を追い詰める。




どうしよう、今の私じゃ、この人達に勝てない……!




「どうした、小僧。

 腰が抜けたか?」




「くっ……」




ここで負けるわけにはいかないのに、勝てる手段が思いつかない。




何か、何かないの?




勝って、ここを抜けて、升屋の事を新選組に伝えなきゃいけないのに……




私は地面の土ををグッと握りしめた。




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