天狗娘は幕末剣士
「そうだ!
なあ、杏子、お前も一緒に稽古しようぜ!」
「へ?」
唐突な提案に、間抜けな声が出てしまった。
「何言ってんだ平助。
昨日、下手に平隊士と接触させるなっつっただろ!」
「大丈夫だよ!
その辺は上手くやるからぁ!
いいだろ?土方さん!」
「トシ、稽古くらいなら、平気なんじゃないか?
杏子くんも、体を動かしたいだろうし」
近藤さんが窘めると、土方さんも渋々承諾した。
「な、いいだろ?杏子!」
「いや、でも監察の仕事もあるだろうし、三番組の巡察にもついて行きたいし……」
なんとなく、チラリと斎藤さんを見ると、もくもくとご飯を口に運んでいた。
ふいに箸が止まったかと思うと、彼はこちらを見ずに話し始めた。
「いいんじゃないか?
三番組の巡察は午後からだ。
お前の、その拙い剣術を鍛えてもらえ」
「なっ……」
嫌な言い方……
でも、当たってるから言い返せない……
実際、昨日も腕に傷つくっちゃったし……
「よし、決まり!」
平助くんはそう言うと、さっきよりも勢いよくご飯を掻き込み始めた。
「稽古するなら、ちゃーんとご飯食べなきゃね」
総司は、私に向かって楽しそうに片目をつむった。