オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
5 涙の婚約指輪
京夜side
「………京夜様」
「これは何かの間違いだろ!?」
「でも……」
毒入り混入事件から10日が過ぎた頃。
朝食後の日課、朝刊に目を通そうとしていた俺に、希和がそれを手渡してくれたのだが……。
スポーツ新聞の1面トップにでかでかとスクープ記事と思われる内容が記されていた。
『天宮製薬のご令嬢 結婚秒読み』
『お相手は……財閥の御曹司?』
すぐさま内容を確認すると、凪彩の父親である天宮社長が独占インタビューで、近々婚約する意向だと告げた事から記事が持ち上がったらしい。
こんな話、聞いてない!
あれからパッタリと接触は無い。
俺はてっきり、事件の真相と背任行為をした役員の情報収集で忙しいとばかり思っていた。
なのに、何故、こんな事になるんだ?!
「お洗濯して来ます」
希和は不安そうな表情で、俺の前から逃げるように去って行った。
何がどうしたらこうなるんだ?
俺はすぐさま凪彩に電話を掛ける。
だが、何度掛けても一向に繋がらない。
俺はすぐさま母親に電話を掛けると、
「もし「どういう事だよ!」
母親の言葉を遮るように怒り散らす。
母親に八つ当たりをしても仕方ない事くらい解っていても、やり場の無い想いが俺を急き立てて……。
「京夜、落ち着いて」
「落ち着いてなんていられるかってのッ!!」