オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ


俺は携帯を握りしめ、母親を詰問する。


「で?一体、どういう話になってる訳?」

「それが………私も今朝、知ったばかりで……」

「いつ知ったかなんて聞いてねぇよ!あんな風に1面トップに載ったら、希和が傷つく事くらい母さんだって分かるだろ?」

「………えぇ。希和さんの様子はどう?」

「どうもこうもねぇよッ!俺と視線すら合わせようともしねぇよ!!」

「………希和さんに悪い事しちゃったわね」

「解ってんなら、何で止めなかったんだよ!?せめて、載る前に一言くらいあっても良かったんじゃねぇの?!」

「そうね…………京夜の言う通りだわ」



母親も知らされたばかりで、手の施しようが無いと言う。

母親がどうにも出来ない事を、俺がどうにか出来るとも思えない。


母親が父親から聞いた話では、婚約披露パーティーは来週末に開かれると言う。

天宮社長は娘である凪彩を守る為に、身内(自分の会社の役員)へ牽制する意味で婚約させる意向だとか。


娘を想う親の気持ちは分からなくはないが、それとこれは話が別だ。

俺が凪彩との婚約を了承したのは、凪彩の想い人・三浦秘書との仲を取り持つ為であって、内部抗争絡みで納得した訳じゃない。

それに、来週って………話が急過ぎんだろ?!


父親を問い質しても曖昧な返事しか返って来なくて、凪彩に連絡しても音信不通。

一体、俺はどうしたいいのか……。


希和から笑顔が消え、1週間が経った頃。

知らない番号から電話が掛かって来た。


< 120 / 456 >

この作品をシェア

pagetop