オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
彼女は身体を少し捻り、俺の身体に抱きついた。
「ちょっ………希和?」
「………京夜様っ、だぁ~いすきっ!!」
「ッ!/////」
普段は言葉にも感情にも表さない彼女が
時折、弾けたように感情をぶつけて来る。
こんな風にストレートに意思表示されて嬉しくない筈がない。
だけど、それをどうやって受け止めていいのかも分からない。
俺の方が何十倍も好きなのに
彼女のように言葉で伝えるのは物凄く抵抗がある。
プライド?
いや、違う。
好き過ぎて、言葉では伝えきれないんだ。
“すき”なんて甘っちょろいもんじゃない。
常に目の届く所にいて欲しいし、
俺以外の“男”に笑顔を見せて欲しくない。
いや、視線すら合わせて欲しくない。
彼女の半径3メートル以内は誰も近寄って欲しくないくらい
それくらい彼女が愛おしい。
そんな事を言葉にしたら、
きっとウザがられるし、重たいと嫌われそうだ。
だから、どうしても伝えきれない……この想いは。
ギュッと抱きつく彼女を抱き締め返す事くらいしか出来ない。
何とも情けなくて、自分が嫌になる。
「希和、そろそろ帰えるか。大分寒くなったし」
「はい」
俺は暴走しそうな想いを必死に食い止め、
彼女と共に愛車へと戻る事にした。