オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
助手席のドアを開け、彼女をシートに促す。
すると、シートに腰掛けた彼女が不意に変な事を尋ねて来た。
「京夜様の足のサイズって、27㎝でしたよね?」
「へ?」
「何だか、その靴………もっと大きく見えるのですが……」
「あぁ、これか?」
彼女が言う通り、俺の足のサイズは27㎝。
それは仕事用の革靴のサイズであって、
今履いているようなブーツ系の靴はワンサイズ大きいモノにしている。
物凄い僅かな違いなのに、何故分ったのだろうか?
「これはイタリア製のブーツだから、日本サイズにすると28㎝弱って所か?」
「ですよね?ん、それなら納得です」
「何で分かったんだ?」
「ん~何でだろう?私にもよく解りませんが、いつもより少し大きく見えたので……」
視力のいい彼女。
それは動体視力だけでなく、日常生活でもいい方だと思う。
だけど、こんな数ミリ単位の誤差を見抜くって……。
もしかして、絶対音感とか絶対味覚があるように
絶対視力というものが存在するのだろうか?
俺のパーツをミリ単位で脳内にインプットしてるとか……。
まさか………な?
だってそれって、俺の事を物凄く細かく見てるって事だろ。
毎日一緒にいれば感覚的に掴めてたとしても
ミリ単位で気付く事は不可能に近い。
やっぱり、彼女は俺の事を………?