オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
マジマジと自分の足下に視線を落とし、
レースアップのショートブーツを視界で捉えた。
「よく履き込んでて、革のイイ味が出てますね」
「ん、そうだな」
ブラウンのそれは、3年程前から愛用している。
ブラウンという色目がカジュアル感を出す一方、
馴染んだ革の風合いが大人の男を演出するから
結構お気に入りの一足でもある。
足下に視線を落としていると、
急に冷たい風がヒューッと吹き付けた。
「希和、閉めるぞ」
「はい」
彼女に寒い思いはさせたくなくて、
俺は素早く助手席のドアを閉めた。
そして、再び愛車を走らせ、自宅へと向かう。
「夕飯はどうする?」
「そうですね」
「何か、食べて帰るか?」
「京夜様は、何か食べたいモノがあるのですか?」
「ん~………特には無いが」
彼女が作ったモノが食べたい。
彼女が作ったモノなら何でもいい。
……そんな事、簡単に言えないよな。
だって、今日は休日デートを敢行中で
彼女に料理させたら、仕事させてるのと同じだし。
そんな事を考え、俺は行きつけの店へと車を走らせた。
すると―――――。