オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ


ララを実家の母に預けたエイミーと共に、彼女が所属している大学病院に到着した。

視界に飛び込んでくる文字は勿論、日本語ではない。

辛うじて英語表記のあるものもあるが、殆どがオランダ語で書かれている。


スクラブを着た顔見知りの医療従事者とすれ違う度に笑顔で挨拶するエイミー。

そんな彼女の背に隠れるようにしながら歩み進めるが、

決意したはずなのに、逃げ出したいほど不安に襲われていた。

そんな私に気づいたのか、エイミーは不意に振り返り笑顔で手を差し伸べた。

『心配ないわ』と言わんばかりに優しく背中を擦ってくれた。



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薄暗い室内に機械のモーター音とエイミーの溜息とも取れる息遣いが響く。

何度も何度も止めては測りを繰り返し、

モニターに穴が開くんじゃないかと思うほど真剣な顔つきで。

私は静かに瞼を閉じて、あの人を思い浮かべていた。

ーーーーーもう一度、あの人に会える日が来るだろうか、と。



カタッと音がしたのに驚き目を開けると、

エイミーは両手で『そのままで』とジェスチャーし、部屋の奥へと。

再び戻って来た彼女の手には、温められたタオルが。

下腹部に塗られた超音波検査用ジェルをペーパーシートで拭き取った後、

温められたタオルで温湿布してくれた。

少しの間とは言え、術後のことも気にかけてくれたのだろう。

温められた腹部は、久しぶりに攣れるような痛みから解放された。






エイミーの説明はとても丁寧で、

日本から持参した診療記録の写しと共に沢山の画像を示しながら話してくれた。







選択肢は4つ。

だけど、そのうちの3つは私の選択肢には無い。

だから、答えは1つ。


エイミーが心配そうに見つめる中、私は何度も頷いた。


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