俺様魔王の甘い口づけ
目を覚ますと、そこは自分のベッドの上だった。
「芽衣子さま」
「ハンス…」
「お目覚めになられて、安心いたしました。食事の用意ができておりますので…」
「ありがとう…」
「血を作る食材を多く取り入れた料理にしております。たくさん召し上がって早く元気になってくださいませ」
ハンスは私の前にお盆を持ってくる。
その表情はとても心配そう。
そうだ。
早く体を動かせるように血を作らなきゃ。
心配をかけたくない。
ルイにだって…。
なんだか、あれはルイの意思とは関係なく行われたことのように思えた。
だって、そのあとのルイの傷ついた表情…。
本当は、したくなかったんじゃないの?
「ねぇ、ハンス…」
「申し訳ございません。私からはなにも…」
ここまで来ても、なにも話してくれようとしない。
ルイに直接聞くしかないのかな…。
でも、ルイは、私に会ってくれない気がする。