俺様魔王の甘い口づけ
「ルイ、私の血を吸って…」
「なにを…」
「血を吸いたくなったら、私の血を吸ったらいい。私は、ルイが生きてくれるなら、この血をルイにあげる」
「バカなことを…。俺は、芽衣子の血など飲みたくない」
なにを言ってるの。
私は非常食なんでしょ?
今がその非常時でしょう?
私のせいだ。
なにも知らずに、ただ自分の常識を押し付けて、ルイを追い詰めた。
ルイの変わってきた心を利用して、自分の想いを押し通した。
それが、ルイを苦しめるなんて知らずに。
最低だ。
冷酷なのは、ルイじゃない私だ。
「ルイ…、お願い」
「…芽衣子」
ルイの頭を首元に寄せる。
ルイは少し戸惑ったように、私の腰に手を回すと少しためらいながら首筋に吸い付いた。
甘く痺れる痛みに、私は目を閉じる。
ルイに苦しんでほしいわけじゃない。
どうすることが一番いいかなんてわからない。
でも…、自分が言ったことには責任を持たなきゃ。
私が人間の血を吸ってほしくないと願った。
それを、ルイは受け入れてくれようとしてるんだから。