俺様魔王の甘い口づけ



ゆっくりと重い扉を開いていくと、中は初めてこの城に来た時と同じ。
不気味な雰囲気で、薄暗かった。



「何者だ」




突然声をかけられビクッと肩を震わせる。
あっさりと見つかってしまった。



血を、吸い取られてしまうだろうか。
殺されて、しまうんだろうか。




ビクビクと恐怖を感じながら声のする方に向く。




「あ・・・ルイ・・・・」



その先には、少し幼さの残る顔のルイ。
私が知っている、鋭い表情はなく、純真なまっすぐな瞳で私を見ていた。


違和感。
なんか、ルイだけどルイじゃないみたい。



ルイはもっと俺様っぽい雰囲気がその外見からもかもし出されていて。
鋭い眼光で射抜くような瞳をしていたはず。



ここが、過去というならなおさらそうでないとおかしい。



ところが、目の前のルイは透き通るような真っ白な肌はそのままに。
どこか穏やかさを身に纏う、悪魔というよりは天使のような少年の様だった。


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