俺様魔王の甘い口づけ


「ハンスにでも習えばいいだろう」

「文字を?…私、覚えられる気がしない、こんな文字」



勉強すれば、法則性とかいろいろわかるんだろうか。
暗号にしかどうしても見えないんだけど。




「お前はどんな文字を使っておる」

「え?」

「文字がないわけではなかろう」

「そりゃあ…」



あれ、なに興味持ってる?
人間なんて嫌いなくせに、非常食くらいにしか思ってないくせに。
よしよし。



「じゃあ、ハンスじゃなくて、ルイが教えてよ。文字。私も私の世界の文字を教えてあげるから」

「は?なぜ俺様がそんなことを」

「いいでしょ」

「調子に乗るなよ、人間」




鋭い視線が私を指す。
めげたりなんかしないもん。



「私が暇な時間を楽しく過ごせるかどうか、ルイにかかってるんだからね。しっかり教えてよ」

「楽しくなど過ごす必要はない」

「はいはい」




ルイの冷血発言なんか右から左に受け流してやるんだ。
散々反論してきたんだ、今更怖いものなんてない。
どうせ非常食と言われているんだし。
大人しくしてたって、最後には血を吸い尽くされておしまい。
だったら、大人しくしてあげる義理はないからね。


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