俺様魔王の甘い口づけ


「どんな本があるの?」

「ここの本は、ハンスが管理しておる」

「そうなんだ。ルイは読まないの?」

「時間がある時には、読むこともあるが」




絵になりそう。
本を片手に、真剣な眼差しで本に視線を落とす…。
うん、とても絵になる。

黙っていれば、いい男なのにな。




「読んでみよー」




一つ適当に手に取った本をペラペラと捲る。
そこで、あることに気が付いた。



「…よ、読めない…」




字が、読めないのだ。
まったく理解できない文字がそこにはしたためられている。
日本語じゃない、ましてや英語でもハングルでもないその文字。
まるで暗号のように見える。




「読めんのか」

「え、どうして?まったく知らない文字なんだけど!」




どうして話し言葉は通じるのに文字は読めない文字なの?
そんなこと、全く考えていなかった。
言葉だって通じるから文字だって同じなんだと…。


それが、異世界だということ?
これじゃあ、こんなに本があったって読めなかったら意味ないじゃない。
がっくしと肩を落とす。





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