俺様魔王の甘い口づけ
「なんて書いてある」
案の定気になるようで眉を顰めながら尋ねるルイに、私はあっかんべーと舌を出した。
大いに悩むといい。
そこになにが書かれているのか、しばらく考えて頭を悩ませるといい。
ずるい考えかもしれないけど、すんなりと言ってしまうのは悔しいから。
それに、文字はルイから教えてもらうと約束したんだし。
「気になるなら、私に文字を教えなさい!」
「なに?」
「そうしたら、そこになんて書いてあるか教えてあげる」
そう叫ぶと、ルイはあからさまに嫌そうな顔をする。
きっと、自分が優位に立てない状況は嫌いなはずだ。
俺様だもの。
だったら、それでもいい。
そこになにが書かれているか一人でずっと悶々としていればいい。
「あー、お腹すいた。ハンスが、もう少ししたらご飯だって言ってたわよ」
「気に入らん」
「ん?」
「お前ごときに振り回されるなど、気に入らんと言っている」
「でしょうね」
わかっててそうしたんだから。
それを狙ってしていること。
だから私はしめしめと思うだけだ。