俺様魔王の甘い口づけ



「貴様を今ここで殺すことだって容易いのだぞ」




遠くで聞こえていたはずの声が、一気に近くなる。
顔をあげた時には目の前にルイの顔が。
そんなこともできるのかと目を丸くする。





「でも、そうしたらそこに書かれていることは結局わからないままなんじゃない?悪口かもしれないわよ。それとも、なにか大切な秘密かも」

「秘密?ほお、それはどれほど俺様に有益な情報なのだろうな」

「それは、わからないわ。だって、ルイにはそれを読むことはできないんでしょう?」





至って強気で立ち向かう。
本当は、怖くてふるえそうだけど。
でも、そうしたら私が負けだ。



「死にたくなければ、何と書いてあるか言え」

「…いや」

「なに?」

「言ったでしょ。交換条件だって」




それを曲げるつもりはない。
ここで生きていくには、ルイと同等か、それに近いところまでいかないと。
いつまでも非常食として見下されるなんて嫌だ。





「素直になりなさいよ。教えてほしいって」




思いっきり笑顔を見せてやる。
怯えたりしないさまを見せつける。





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