俺様魔王の甘い口づけ


ハンスも出て行き、部屋で一人まったりしていた。
すっかり、字も読めるようになりあの書斎から本を借りて読む。

小説のようで、ミステリーものの本だ。
こういうの、この世界にもあるんだ。




その時、廊下に大きな足音が響く。




「…なに?」




その足音はどんどんこちらに向かってきているような気がする。
あんな足音を立てて走る人なんてこの城にはいないはずだ。
いったい誰だろう、と少し身構えた時大きな音を立てて扉が開いた。



その先にいたのは、いつかの勇者だった。




「あなた…」

「いた!君、探したよ!」




勇者は、私の姿をその目に捕えるとホッとしたように表情を緩めた。
私は首をかしげる。
探したとは、どういうことだろう。




「ほら、ボーッとしてないで行くよ!」

「え?ちょっと、ちょっと待って、行くってどこに?」

「逃げるんだ!こんなところから、さあ!」




私の腕を強引に掴むと引っ張り出した。
私は戸惑いながらその強引な腕について行くしかない。


逃げるって、いったいどういうこと?





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