めぐりあい(仮)
楽しそうに騒ぐその人たち。
あたしの目には、
蓮哉しか映っていない。
どうしよう。
ものすごく会いたかった。
最後に会った日から、
会いたくて会いたくて、
ずっと何度も連絡した。
ここにも数回来てみたり、
いないかなって探したりもした。
ずっと会えなかった蓮哉が、
今偶然目の前にいる。
辺りは真っ暗で、
声をかけないと絶対
気付いてもらえない。
これこそ偶然のイタズラか、
街灯がチカチカしている。
今しかない。
声をかけるしかない。
「蓮哉!」
声が震えた。
彼の名を呼んだ瞬間、
体が固まった。
動けない。
蓮哉を呼び止めて、
それからどうするかを
考えていなかった。
「え、何、牧瀬の知り合い?」
「高校生じゃん、可愛い~」
男の人たちは蓮哉よりも先に、
あたしの周りに集まった。
蓮哉はというと、
あたしが声をかけた時と
同じ場所でただ見ているだけ。
「牧瀬の彼女?」
「一緒にご飯行く?」
「いや、あの…」
何も言えずに固まっていると、
向こうで蓮哉が
去って行くのが見えた。
「蓮哉、待っ…」
蓮哉が去って行くのに、
あたしの目の前の人は
行こうとしない。
「君も行くか?一緒に飲もーぜ」
少し飲んでいるのか、
お酒臭い。
「あたし、彼に用事があるので…」
なぜか手首を掴まれ、
近い距離で話そうとしてくる。
酔っ払いはめんどくさい。
いつも店長が助けてくれるから、
何とかなってるけど。
「あたし、またにするんで、行ってください」
「何でよ~。せっかくだし、ほら~」
どうしよう。
あたし迷惑かけてる。
こんなつもりじゃなかったのに。
「田山さん」
そこに、呆れた様子で、
蓮哉が入って来た。
目の前の酔っ払いは、
田山さんと呼ばれ、
蓮哉に肩を掴まれている。
「何だよ、牧瀬。俺に命令か?」
「そいつ知り合いでも何でもないんで、ほっときましょ」
「知り合いじゃねーの?じゃあ俺がもらってもいいよな~」
蓮哉が何を言っても、
田山さんはあたしの手を離さない。
敬語を使っているということは、
蓮哉の上司の人なのかな。
「田山さん、みんな待ってますから」
「お前ら先に行っていいよ。この子と少し話してくから」
田山さんはあたしを見て微笑む。
あたしはどうしていいか分からず、
蓮哉を見つめた。
けれど蓮哉は、顔色1つ変えず、
冷たい目であたしを見下ろしている。
「田山さん、まじでもう行きますよ」
「牧瀬、お前いい加減にしろ」
するとなぜが田山さんは、
少し怒って蓮哉を睨んだ。