最後の日
「……明日退職祝い買いに行こう」
「何買ってくれんのー?」
「指輪!!」
相澤が指を絡めてしっかりと手を繋ぎ直す。開いた片方の手で例の紙袋を持ち、ビルの入口へと歩き出した。私は花束を抱えてそれに着いて行く。
「ねえ相澤」
「何だよ」
「鞄持ってないけど、上に置いてきてるんじゃないの?」
「!!」
焦ったのか相澤がパッと私の手を放り出した。
おいおい。
仕事は出来る男なのにこういう所は子供みたい。
「すぐ取ってくるから!そこで待ってろよ!」
そう叫びながら相澤は再びエレベーターに向かって走り出す。私は笑いながら手を振ってその背中を見送った。
名前が残るような仕事をしたわけじゃない。十年の内に私の力で会社が何か大きく変わったわけじゃない。これだけの年月をかけて何か残せたかと言われたらきっと私は何も残せてない。
「何買ってくれんのー?」
「指輪!!」
相澤が指を絡めてしっかりと手を繋ぎ直す。開いた片方の手で例の紙袋を持ち、ビルの入口へと歩き出した。私は花束を抱えてそれに着いて行く。
「ねえ相澤」
「何だよ」
「鞄持ってないけど、上に置いてきてるんじゃないの?」
「!!」
焦ったのか相澤がパッと私の手を放り出した。
おいおい。
仕事は出来る男なのにこういう所は子供みたい。
「すぐ取ってくるから!そこで待ってろよ!」
そう叫びながら相澤は再びエレベーターに向かって走り出す。私は笑いながら手を振ってその背中を見送った。
名前が残るような仕事をしたわけじゃない。十年の内に私の力で会社が何か大きく変わったわけじゃない。これだけの年月をかけて何か残せたかと言われたらきっと私は何も残せてない。