犯罪彼女


「目、覚めたのか」

ドアを開き、笑顔で入ってくる舞島吾郎。

手に持っているのはお粥の入った器をひとつだけ。

「飯だ。食え」

床に置かれたその器からは湯気が出ている。

「手、使えないんだけど」

「見本を見せてやる」

舞島はレンゲを使って、一口分のお粥を正面の女子の前に落とした。
汚そうな、いや、現に汚い床の上だと言うのに、女子はためらいもなく犬食いを始めた。

「こうすれば食えるだろ? 食え」

「誰が犬食いなんてするかっての。それにお腹空いてないし」

鼻で笑い飛ばす。
舞島は床に置いた器を手に持ち、私の上でひっくり返す。
中に入っていた粥が太ももに落ちた。ズボン越しとはいえ熱い。

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