【完】狼様の最愛。
いや、正確に言えばクンの弟と、クンに血を分けていたと思われる力の持つ狼と、小さな小鳥。
それがマンタと、アオイとヒルナだった。
「……クンは死んだ。」
その時初めて、俺は血を分けるという行為の“リスク”と、分けられた者の“運命”を耳にした。
二十歳のとき、若く結婚した。
妻がいて、大事な親友がいて、俺は幸せだったのに……。
クンがいなくなって、もちろん直ぐには立ち直れなかった。
けれど俺は気づいてしまった。
俺には妻や、他の友人もいる。
だが目の前にいるクンの弟……彼には、誰がいる?