【完】狼様の最愛。
自分よりずっと大きい、ましてや人じゃなく熊にそう思うなんて、俺はおかしいのかもしれない。
いや、元々動物の言葉が分かる時点で、俺はおかしいのか。
それでもクンの弟というだけで、目の前にいる熊がどうしても小さく儚いものに思えて、仕方がなかった。
俺が、マンタから兄貴を奪ったんだと気づいた。
マンタは、俺を許さない。
マンタにとって唯一の家族を奪ってしまった俺を、マンタは決して許さない。
そして俺はいつしか、許しを請うことさえ出来なくなった。
クンがいなくなって、半年……。
俺は動物の言葉がわからなくなった。
「ごめんな、マンタ……。」
何度、この言葉を口にしたか。
「グルウゥ……。」
マンタが何かを言うけど、俺にはもうその言葉がわからない。
許してくれるのか、許してくれないのか
それさえも、自分の耳で聞くことが出来なくなった。