【完】狼様の最愛。
クンに出会うまであんなにも嫌だったあの力が、こんなにも欲しいと思うことはない。
まだ薄暗い空。
マンタはのそのそと、山の方へ帰っていった。
「パパ……?」
そんな時開いた部屋のドア。
開けたのは、今年で六歳になる俺の娘。
「どうしたんだ? 勲友(くんゆ)。」
勲友の“勲”は、もちろん、クンから取ったもの。
字こそは違うけれど、読みはクンと同じにしたかった。
「今……誰かいた?」
「どうしてだ?」
「……誰かの声が、聞こえたの。“クン兄は、お前を責めることを望んでいない”……そう言ってた。」