イケメン三兄弟と同居する事になっちゃった?!


「右、右!!そこ右に曲がれ!!」


拓斗君の指示に従おうと右に曲がろうとした時、なぜか綾斗君が私の腕を掴んで、近くの空き教室へ入り込んだ。


女子たちは、右に曲がった優斗君と拓斗君を追いかけて行ってしまった。


お互い息を切らしながら目を見合わせる。


「……行っちゃった…。」

「うん、行っちゃったね。…このままここで二人きりでいよっか。」


一瞬、意味深なその言葉にドキッとしたけれど…これはあくまで女子たちから見つからないため。


見つかったら大変な事になっちゃう。


「とにかく座ろ?」


そう言いながら椅子に座る綾斗君。

開いてる窓から吹き込む風が、カーテンを優しく揺らす。


「うん。」


綾斗君の癖っ毛な髪の毛が、私の短い黒髪が……風に揺れる。


私たちの髪を揺らしているのは同じ風。


……同じ…、それが私の胸をきゅうっと締め付けた。


「ゆずちゃん、どこに座ってるの?」


「え?…椅子だよ?」


「うん、だから何で椅子に座ってるの?」


「えぇっ?!」


すると綾斗君は、すくっと立ち上がると私を抱き上げた。


そして、まるでそれが当たり前だとでも言うかのように、綾斗君は私を膝の上に下ろした。


「こうじゃなきゃ絶対ダメだからね?」


……一体、これはどういう状況でしょうか?



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