桜の花びらは美しく、儚く、散っていく。
「うるせえ………。」

なんの騒ぎだ、と静かに聞く朔夜。

「お、お前の…!隣りに居る女が…!!ぎゃはは!」

聖也が教えようとするけど、下品に笑いながら喋るから何を言ってんのか分からない。


「まあ、とりあえず幹部室に行こ?」

奏汰の一言で、私は幹部室?って所に連れて行かれた。



カチャ

「幹部室へようこそー!」

扉を開けて、そんなことを言う蓮斗に思わず微笑む。

「ここは基本的に、幹部以上じゃないと入れない部屋なんだ♪」

「………私、入ってもいいの?」

「勿論!お姫さまも大歓迎だよ☆」

お姫さまって………。

私は認めてないんだけど。


「お茶でもどうぞ。」

そう言ってお茶を勧めてくれる奏汰。

「ありがとう。」

私は遠慮なく、ズズッとお茶を啜る。

そんな私を見て、また笑い出す聖也。

聖也はさっきから、私の行動をいちいち笑っている。

…………腹立たしい。

睨みつける私と笑いを我慢する聖也の静かな戦いが始まる。

これが俗に言う冷戦というものか、と明らかに間違ったことを考え始めたところで聖也が口を開いた。

「お前、女じゃねーな。」

「失礼な!私は立派な女の子です!」

「あの変顔見たら誰だってそう言うわ!」

お茶の啜り方もな、と付け足す聖也にもう反論出来ずに俯く。

助けを求めるように奏汰を見ると、奏汰はにこ、と笑って

「咲良ちゃんは立派な女の子だよ。」

と言った。そして小声で

「朔夜が惚れるくらいに。」

なんて、悪戯っ子みたいに笑った。
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