桜の花びらは美しく、儚く、散っていく。
「へ……?」

惚れるって……。

逢瀬朔夜が………?

「そのうち分かるよ。」

奏汰は優しく微笑んで、私の頭をぽんぽんってした。

それが心地良くて、えへへと笑うと

「奏汰に咲良ちゃん取られたー!」

なんて声が響いた。

取られたって……。

私は物じゃないし。

思わず苦笑する。


ぺちぺちと奏汰を叩く蓮斗と、ごめんごめんなんて軽く誤りながら逃げる奏汰。


……仲良しなんだろうな。

会ってまだ少ししか経ってないけど、信頼感っていうか……。

そういうのを凄く感じる。



………やっぱり私はここには入れない。

いや、居てはいけない。

私は……




“私は、幸せになってはいけないから。”
< 20 / 37 >

この作品をシェア

pagetop