至上最強の総長は私を愛しすぎている。~DARK NIGHT~ Ⅱ
「……壱冴……あたしを騙したの……?」


「……」


壱冴はその顔のままあたしを見降ろすだけで。


「早く来いよ」


澤城があたしの腕を引っ張り、すぐ後ろで待機していた黒塗りの車に引き込もうとする。


「ねえっ……!」


引きずられながらも、あたしは壱冴から目を逸らさなかった。


同じくあたしから目を逸らさない壱冴は、それでも表情を変えることはなく。


「ごたごた言わねえで早く乗れよっ!」


いつまでも食い下がるあたしを黙らせるように、中から出てきた他の男たちに、車内へ引き込まれた。


「やめてっ!」


「うるせえ黙れっ!」


「きゃっ……!」


「それじゃ、後は任せて下さい」


あたしを押し込んだ後、もう一度敬語を使った澤城が最後に乗り込み。


すぐに車は発進した。
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