それが愛ならかまわない

 今日の約束をしていたのは都心で展開している訳ではないけれど、地域密着型の大手不動産チェーンである会社。以前行った社外向けセミナーで私が対応して、反応が今ひとつだった時点から時間はかかったけれど結果的に向こうから興味を持って話を聞きに来てもらうまでに漕ぎ着けた。かなり大きな仕事だったのに。


「頭打たなかったのは運が良かったね」


「……ごめんなさい」


 掠れた声でそう漏らすと、微かに福島さんがため息をついた気配がした。


「私に謝る必要ないでしょ。言っとくけどずっとここで見守ってた訳じゃないから。仕事の事だって会社としては契約結べるなら損はしてないし、大友君は今そこまで忙しくないって言ってたからこそ対応してるんだし。篠塚さんが手柄一つ立てそこねただけよ」


「そうですね」


 辛辣なんだか親切なんだか分からない、けれど率直な言葉。思わず苦笑いの表情になる。
 なんだかんだ言っても私を突き放し切れない福島さんは面倒見が良い人だ。


「ただ自分でも分かってると思うけど、もう新人じゃないんだから自分のキャパ読み間違えないで体調管理くらいしっかりやって。最近の篠塚さんの仕事量は確かに多めだったけど別に残業漬けだった訳じゃないし」

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