それが愛ならかまわない

 話してしまう事で彼女に感じていた後ろめたさはなくなったけれど、いつまでも顔を突き合わせているのも気不味かった。ただ、言い逃げになってしまったのはちょっと卑怯だったかもしれない。遠慮して欲しいなんて言うつもりはないし、単に相談や協力は出来ないという意思表示だったのだけれど、ちょっと言葉足らずだっただろうか。
 けれど取り繕わなくて良い椎名の前が居心地が良いのと同じ様に、自分の感情に素直になるというのは随分と気分を軽くする。浅利さんに怒鳴りつけたのだって言いたいことを言わず腹の中に色々溜め込み過ぎたのが原因だった。
 恋敵にライバル宣言したのなんて初めてだ。今の様に背負っている物のない十代の学生の頃だって、こんなに能動的な恋愛はしなかった。そう考えてみると感情の揺れも自分の行動も我ながら初々し過ぎて、思わず笑いそうになり私は声を押し殺した。


















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