それが愛ならかまわない

「でも」


 もう誤魔化すのは嫌だった。私と椎名の間にあった事を全てを話せる訳じゃない。それでも正面からぶつかって来てくれる溝口さんに嘘はつきたくない。


「実は……私も椎名の事、好きだから……まだ本人には伝えてないけど、いつか言いたいと思ってる。そんな訳で、ごめん。協力とかは私には出来ない」


 溝口さんは驚いた様子を見せなかった。エレベーターの時の私の態度は少し不自然だったし、もしかしたら訊ねる前から気づかれていたのかもしれない。
 表情を変えないまま視線だけをずらされて、少しホッとした。


「……いつから、ですか」


「さあ……私が自覚したの割と最近だから。こう言うとあれだけど溝口さんの積極的な所見て焦って気づいた部分もあるのかも」


「……」


「……ごめん、コーヒー冷めるし先行くね」


 溝口さんの返事を聞く前にそれ以上の会話を打ち切って給湯室を出た私は、廊下に人影がなかったのでホッとした。人の出入りの多い場所でしたい話じゃない。ある意味修羅場だし。

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