それが愛ならかまわない

 そう言って口元を抑えている椎名の顔は耳まで赤かった。新鮮過ぎるその表情がよく見たくて、つい身を乗り出してのぞき込んでしまって、逆の手でガードされる。
 告白の時は平然としていたくせに。そう言えばあの時椎名はいつからか私の事を好きだったのか訊いてもはぐらかして答えてはくれなかった。
 最初にホテルに行った時だって、何やら皮肉っぽい事色々言われた気がするけどその裏に別の意味があったなら。灯ちゃんの言っていた照れ隠しってこういう事か。


「昔から結構な面食いだよな、椎名って」


 矢吹さんまでが追い打ちをかける。


「顔ですか」


 ルックスがきっかけになるのは別にいいんだけど。むしろ褒められて光栄ですけど。


「……顔だけ?」


「えー、愛想が良いだけの美人かと思ったらニコニコしながらうまく班のメンバー乗せて作業回して、その課題でトップにしちゃったの凄いとか言ってたじゃん」


「……だから何でそんな細かい事覚えてるんですか長嶺さん!」


「社内の情報通ってのは色んなデータの蓄積が頭の中でしっかり管理されてんのよ」

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