風が、吹いた
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「お疲れさま、さ、飲んで飲んで。」
白い花が、誰も居なくなったテーブルを飾る店内。
佐伯さんがコーヒーを淹れてくれる。
「ありがとうございます。」
椎名先輩は律儀にお礼を言って、カップに口をつけた。
その仕草にすら、胸が高鳴る私は、本当にどうしたらいいんだろう。
「千晶、手、大丈夫だった?」
佐伯さんが、労わるように尋ねた。
「あ、、大丈夫です。ちょっとかかっただけなので…。それより、ごめんなさい。カップ、割っちゃって……」
申し訳なくて、肩を縮ませて謝る。
「いいよ、いっぱいあるんだから。それより、火傷にならなくて良かった。」