風が、吹いた




熱いシャワーを浴びると、自分の身体が冷え切っていたことに、今更気づく。




―僕の家なんだ





流れる水の線を見つめながら、さっきの佐伯さんの言葉を思い出す。





―僕はここの大家なんだよ。







「だからか。。」




この家に来た時に、佐伯さんのお店を思い出したのは。


センスが確かに佐伯さんらしい。


椎名先輩と、佐伯さんの接点は、こんな所にあったのだ。


キュ、とシャワーの蛇口を閉める。


今更そんなこと知っても、もう遅いけど。
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