風が、吹いた
「人間様に対して、ばーかはないんじゃねぇか?」
やっぱり昨日の続きをご所望らしい。
「あーはいはい、そうでしたね…すみませんでした。では。」
私は断固拒否、願い下げだ。浅尾の脇を通り抜けて階段に向かおうとする。
だってぎりぎりだし、HRもう始まっちゃうし、人もまばらだし。
言い訳になる理由は沢山ありそうだ。
が、それも虚しく、腕を掴まれる。
その時。
「あ、おはよー千晶。」
欠伸を噛み殺したような声で、私の名前を呼ぶ人が。
この学校で、私の名前を呼ぶ人は、たったひとりしかいない。